アジャイル開発で「設計書は不要」という話を聞いたことはありませんか?
しかし、設計書はアジャイル開発において、スムーズな開発進行のためには、適切な設計書の作成が必要不可欠です。
そこで本記事では、アジャイル開発における設計書の役割や作成のコツについて詳しく解説します。
設計書作成のコツについても紹介するため、アジャイル開発に携わる方はぜひ最後までご覧ください。
アジャイル開発は設計書を作らないというのは誤解
「アジャイル開発は設計書を作らない」というのは、誤解です。
アジャイル開発では、設計書を完全に排除するのではなく、プロジェクトの進行に合わせて必要な設計書を作成する必要があります。
次項で設計書が不要だと誤解される理由について解説します。
アジャイル開発に設計書は不要だと思われている理由
アジャイルソフトウェア開発宣言では、「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを重視する」と明記されているため、「設計書は不要」という誤解を生んでいます。
しかし、アジャイル開発では、プロジェクトに必要な設計書を作成する必要があります。
上記の宣言は、チーム全体の柔軟性や迅速な対応を維持するために、設計書の作成は必要最小限に留められるべきだという考え方が強調されているに過ぎません。
アジャイル開発における設計書とは?
アジャイル開発において、設計書は重要な役割を果たします。
ただし、従来のウォーターフォール開発と比べ、アジャイル開発における設計書の作成方法や目的が異なります。
アジャイル開発では、設計書は必要最低限に留めつつ、プロジェクトの進行に応じて柔軟に変更されるべきです。
設計書の具体的な役割や種類、設計書と仕様書の違いについて詳しく解説します。
設計書の役割
アジャイル開発における設計書は、チームメンバー間の共通認識を作り、開発の方向性を定めるうえで重要な役割を持ちます。
具体的には、下記の3つの役割が挙げられます。
- 開発チーム内で共通の認識ができる
- 開発の進捗が管理できる
- 将来的にメンテナンスがしやすくなる
開発チーム全員が同じゴールに向かって進むために、システムの全体像や機能を共有するツールとして設計書を活用できます。
また、システムの改修が必要になった場合、設計書があれば、システムの構造や機能を把握しやすいため、メンテナンスにかかる時間やコストの削減が可能です。
設計書の種類
システム開発における設計書は、大きく分けて下記の2つの種類があります。
- 基本設計書(外部設計書)
- 詳細設計書(内部設計書)
基本設計書(外部設計書)とは、ユーザーインターフェースや機能要件を記載し、開発チームとクライアントの共通認識を持つための資料と言えます。
一方で、詳細設計書(内部設計書)とは、システムの内部構造やアルゴリズム、データベースの設計を記述したもので、主に開発者が参照するための技術的な内容が中心です。
アジャイル開発では、詳細設計書よりも、基本設計書を重視し、必要に応じて更新していくのが一般的です。
設計書と仕様書の違い
設計書と仕様書は、しばしば混同されがちですが、目的や内容が異なります。
設計書は、システム全体の構造や機能を抽象的に記述し、全体像を把握するための文書です。
一方で、仕様書は、システムの具体的な機能や動作を詳細に記述し、開発者がシステムを構築するための指針となるものです。
アジャイル開発で必要な4つの基本設計書
アジャイル開発で必要な4つの基本設計書は、下記の通りです。
- システム構成図
- ER図
- 画面仕様書
- API仕様書
各設計書の概要や必要な理由を解説します。
システム構成図
システム構成図とは、システム全体の構造を視覚的に表した図です。
具体的には、サーバー、ネットワーク、データベースなどの各コンポーネントがどのように関連し合っているかを明示します。
アジャイル開発においては、頻繁に変更が加えられるため、全体の構成を常に把握するためにシステム構成図が必要です。
システム構成図があると、新しくメンバーが追加になった際にも、概要をすぐに理解できるため開発がスムーズに進められます。
ER図
ER図(エンティティ・リレーションシップ図)は、データベースの構造を示す設計書です。
各エンティティ(実体)とリレーションシップ(関係)を線で結び、データベース内のデータの構造を視覚的に表現します。
データベースの構造を明確にすれば、システム開発中にデータの変更や追加があった場合でも、変更点がどこにあるかを把握できます。
また、チームメンバー全員が同じデータモデルを共有することで、認識齟齬による設計ミスが防げます。
画面仕様書
画面仕様書は、ユーザーインターフェースの設計を詳細に記述したドキュメントです。
開発するシステムやアプリのボタンやテキストボックスの配置、色遣い、動作などを定義します。
アジャイル開発では、頻繁にユーザーインターフェースが変更されることが多いため、画面仕様書は設計の変更点をスムーズに反映できるようにしておきましょう。
画面仕様書を作成すれば、開発者とデザイナー間での意思疎通がスムーズに行え、ユーザーインターフェースの品質向上に繋がります。
API仕様書
API仕様書は、外部のシステムやアプリケーションとの連携を定義したものです。
具体的には、APIのエンドポイント(リクエストを送る場所)、パラメータ(追加で指定する情報)、レスポンス形式などを明記します。
アジャイル開発では、APIの変更や新しいAPIの追加が頻繁に行われるため、仕様書を常に最新の状態にしておくことが重要です。
API仕様書をきちんと整備すれば、システム間の連携が円滑に進み、トラブルを未然に防げます。
アジャイル開発における設計書作成のコツ
アジャイル開発における設計書作成のコツは、下記の通りです。
- 必要最小限のドキュメントにする
- ドキュメントは簡単に更新できるようにする
- シンプルなフォーマットで作成する
- ツールを活用する
アジャイル開発では、頻繁に要件が変更されるため、設計書は詳細に作り込むよりも、必要最低限の情報で、柔軟に更新できるようにしておくことが重要です。
各コツについて詳しく解説します。
必要最小限のドキュメントにする
アジャイル開発では、要件や仕様が頻繁に変わることが多いため、詳細な設計書を作り込みすぎると、無駄な工数が増えます。
設計書は、チーム全体が理解できる程度に最低限の情報だけを含め、柔軟に対応できるようにしておきましょう。
必要最小限のドキュメントにすれば、設計書の作成や更新にかかる時間を削減できます。
ドキュメントは簡単に更新できるようにする
設計書は1度作成して終わりではなく、開発の進行に合わせて繰り返し更新することが重要です。
スプリントごとに設計書を見直し、変更があった部分や新たに追加された機能を記録すれば、チーム全員が最新の情報を共有できます。
設計書の更新がスムーズに行える仕組みを作っておくことが、アジャイル開発を効率良く進めていくためのポイントです。
シンプルなフォーマットで作成する
設計書は、シンプルで分かりやすいフォーマットで作成しましょう。
例えば、Googleドキュメントのような、誰でも簡単にアクセスでき、編集しやすいツールを使うことで、チーム内の共有がスムーズになります。
アジャイル開発では、設計書に細かい装飾や複雑な形式は不要で、簡潔かつ必要な情報がすぐに把握できるように作成するのがポイントです。
ツールを活用する
設計書作成や管理には、プロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールを活用すると便利です。
例えば、ConfluenceやJiraなどを使えば、設計書のバージョン管理やチーム全体での情報共有が容易になります。
結果、ドキュメントの更新や参照がスムーズに行えるようになり、設計書の管理や共有の効率化を図れます。
まとめ
アジャイル開発における設計書は、従来のウォーターフォール型開発のような詳細なドキュメントではなく、チームメンバーが共通の認識を持ち、開発を円滑に進めるために作成するものです。
そのため、設計書は、必要最低限の情報かつ柔軟に更新できるように作成しましょう。
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