ソフトウェア開発にアジャイル開発を導入しようと検討しているものの、失敗のリスクが懸念され、なかなか採用できない企業様もいるでしょう。
本記事では、アジャイル開発が失敗する理由と事例を紹介します。成功させるためのポイントについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
アジャイル開発が失敗する5つの理由
アジャイル開発が失敗する主な理由は以下のとおりです。
- コミュニケーション不足
- 責任の所在が曖昧
- アジャイル開発への理解が不十分
- アジャイル開発の経験不足
- アジャイル開発に向いていないソフトウェアの開発
それぞれの失敗理由について詳しく解説します。
コミュニケーション不足
アジャイル開発における失敗の主な原因の一つが、チーム内のコミュニケーション不足です。アジャイル開発は短期間で開発〜リリースを繰り返し、都度変更や修正を加えながらプロジェクトを進めていくため、迅速な情報共有が求められます。
しかし、チームメンバーや関係者間の情報伝達が不十分だと、目的のズレや認識の違いが生じ、プロジェクトの進行が滞ることがあります。
また、従来のウォーターフォール型開発とは異なり、アジャイル開発ではプロジェクト開始前に要件定義を細かく設定しないため、開発中のコミュニケーション不足は品質低下や納期遅れにもつながってしまいます。
責任の所在が曖昧
アジャイル開発では、責任の所在が曖昧だと誰が最終的な判断を下すべきか不明確になり、プロジェクトが停滞する可能性があります。
特に問題が発生した際に、誰が解決に向けて行動を起こすべきか不明確なままだと、対処が遅れ、失敗につながります。
そのため、開発の責任者であるプロダクトオーナーがプロジェクトに深く関わり、ステークホルダーと開発チームの調整を行うことが重要です。
また、プロダクトオーナーが決定権を持つことも必要です。スケジュールや仕様変更への対応などについて、責任を持って最終的な判断を下せるようにしておくことで、プロダクトオーナー自身もより責任感を持ってプロジェクトに関われるでしょう。
アジャイル開発への理解が不十分
アジャイル開発は従来のウォーターフォール型開発とは異なるアプローチを取るため、特徴や運用方法を十分に理解していないと失敗するリスクが高くなります。
アジャイル開発は、顧客のフィードバックを反映させながら開発〜リリースを行うため、発注者側が積極的に関わらない場合は、想定していた成果物にならない可能性があります。
そのため、プロジェクトを開発者任せにせず、発注者を含めたステークホルダーがプロジェクトの計画やフィードバックなどに積極的に関わることが重要です。
アジャイル開発の経験不足
アジャイル開発は経験とスキルが求められるため、経験の浅いチームで行うと失敗のリスクが高まります。
特に、アジャイル開発に特化したリーダーシップやチーム運営の知識が不足していると、プロジェクトの方向性がブレやすく、スムーズな進行が難しくなります。
初めてアジャイルを採用する企業は、経験が豊富な開発会社に外部委託することで成功の可能性が高まるでしょう。
アジャイル開発に向いていないソフトウェアの開発
アジャイル開発はすべてのソフトウェア開発に適しているわけではありません。
特に、大規模で複雑なシステムや厳密な仕様が求められるプロジェクトでは、アジャイルの柔軟な進行方法が逆に不利になることがあります。
以下のような開発は、ウォーターフォール型開発のほうが適している可能性があります。
- プロジェクト要件が明確に決まっているもの(変更がほとんどないもの)
- 大規模なプロジェクト
- 既存システムのリプレイス など
そのため、開発する規模や内容に合わせて、適切な開発手法を選定することが重要です。
アジャイル開発の失敗事例
アジャイル開発の失敗事例を以下の3つ紹介します。
- 納期遅延
- 品質低下
- コスト増加
それぞれの事例について詳しく解説します。
納期遅延
アジャイル開発の失敗例としてよく見られるのが、納期遅延です。
アジャイルは柔軟な対応が可能ですが、頻繁な変更や追加要件によって、スプリントごとの目標が達成できず、結果的に納期が延びるケースがあります。
顧客の要望を開発に反映させることは重要ですが、どこまで聞き入れるかは客観的に判断する必要があるでしょう。
品質低下
品質の低下もアジャイル開発の失敗として挙げられます。
特に短期間でリリースを繰り返す場合、テスト工程が十分に行われず、バグが残ることがあります。
また、スピード重視の開発が優先され、品質確保のための工程が省略されることで、最終的に低品質な製品が提供されるリスクもあるでしょう。
コスト増加
アジャイル開発では、予算内での進行を維持することが難しくなる場合があります。
反復作業の中で新たな要件や修正が増え、結果としてコストが増大しやすいです。
特に、計画外の作業が頻発すると、当初の予算を大きく超え、プロジェクト全体の費用対効果が低下する可能性があります。
アジャイル開発が日本で普及しない理由
海外ではアジャイル開発が主流となっているが、日本ではまだ従来のウォーターフォール型が主流です。
DX白書2023によると、アメリカは53.9%であるのに対し、日本のアジャイル開発普及率は22.9%と低いことがわかります。
日本でアジャイル開発が普及しない主な理由としては以下が挙げられます。
- ソフトウェア開発を外注するケースが多い
- IT技術者が社内に少ない
また、アジャイル開発に対応できるリーダーシップやプロジェクト管理のスキルが不足していることも、普及の障害となっています。
事前に要件定義を明確にすることにより、スケジュールが立てやすいウォーターフォール型のほうが、日本の文化には馴染みやすい傾向にあるのも、アジャイル開発が普及しにくい理由の一つです。
アジャイル開発を失敗させないための4つのポイント
アジャイル開発を失敗させないためのポイントを4つ紹介します。
- 定期的に進捗を確認する
- 顧客や関係者の理解を得る
- 目的を明確にする
- 細かくフィードバックする
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
定期的に進捗を確認する
アジャイル開発では、定期的な進捗確認が重要です。
スプリントごとに成果を評価し、次の段階に向けた改善点を見つけることで、計画のズレを早い段階で修正できます。
具体的には、定期ミーティングの開催やツールを使った細かい進捗確認を実施することをおすすめします。
顧客や関係者の理解を得る
アジャイル開発はチーム内だけでなく、顧客や関係者との協力が重要です。
開発過程での変化に対応するため、関係者との密なコミュニケーションを取り、進捗や変更点を随時報告することが求められます。
そのため、顧客や関係者もアジャイル開発についてや、スケジュール・プロセスなどを理解してもらう必要があります。開発者だけではなくステークホルダーもプロジェクトに深く関わり、コミュニケーションを密に取っていきましょう。
目的を明確にする
プロジェクトの目的を明確にしておくことで、チームが同じ目標に向かって取り組めます。
目的が定まっていないと、進むべき方向がわからず、余計な時間やコストがかかる可能性があります。
目的を明確にするためには以下の点が重要です。
- 目標を設定する
- 優先順位を定める
- 目的や目標をチームで共有する
目的を明確にすることにより、各スプリントでの優先事項や目標がはっきりし、全員が同じ方向を向いて開発を進められます。
細かくフィードバックする
アジャイル開発は短いサイクルで進行するため、スプリントごとに進捗を確認し、早い段階での改善や調整が求められます。
小さな段階での成果物を確認し、改善点を見つけて次のスプリントに反映させることで、効率的にプロジェクトを進行できます。
発注者側も開発者にプロジェクト任せきりにせず、積極的にフィードバックを行いましょう。
まとめ
アジャイル開発は、柔軟性と迅速な対応が求められる一方で、失敗のリスクも存在します。
アジャイル開発が失敗する主な理由は以下のとおりです。
- コミュニケーション不足
- 責任の所在が曖昧
- アジャイル開発への理解が不十分
- アジャイル開発の経験不足
- アジャイル開発に向いていないソフトウェアの開発
定期的な進捗確認や顧客との密なコミュニケーション、目的の明確化とフィードバックの徹底などを行うことで、失敗を回避してスムーズな進行が可能となります。
アジャイル開発を行うのであれば、オフショア開発と併用するのがおすすめです。
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